日本三大秘境のひとつ、祖谷周辺には興味をそそられる温泉が点在している。その中のひとつ、祖谷温泉を訪れてみた。
温泉好きな方なら誰でも知っている有名な温泉だが、日本三大秘境と命名された場所だけあってかなりの山奥だ。
場所は吉野川の上流域、剣山麓にあって山険しく谷深く、「よくもまぁこんなところに家や道路を作ったなぁ」と感心してしまうような場所にホテル祖谷温泉はある。
徳島自動車道「井川池田I.C.」から国道32号線を南下、JR土讃線「いやぐち駅」から祖谷街道をさらに南下するが、その道は大変狭く離合困難な道路が続く。途中に離合ポイントがあるので通行する場合は対向車に細心の注意を払わなくてはいけない。
狭い舗装道路ながらガードレールが敷設されているがすぐ横は崖で、その崖は下の祖谷川まで200メートルほど続いているという。反対の山側斜面はほとんど岩盤が切り立ち、ところどころに落石した痕跡を残している。運転中はまったく生きた心地がしなかった。
ホテル手前には有名な小便小僧が立っていたが興味がないのでパス。遠路遥々祖谷温泉を目指してやってきたのだから小便小僧を見る時間がもったいない。
次第に見えてくる崖っぷちに建っている『ホテル祖谷温泉』を見ると、鳥取県にある投入堂を連想する。それほどインパクトのある崖っぷちのホテルだ。
車をホテルの駐車場に停めると、「遠いところをお疲れさま、山道大変だったでしょう」と従業員の方が優しく声をかけてくれた。祖谷温泉は周囲に同業者はなく一軒宿なので、日帰り入浴客などは軽くあしらわれると思いきや、宿泊客と同様に丁重に接客してくれたのは印象的だった。
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祖谷温泉の看板
ホテルは崖っぷちに立っている
宿泊者の車が多数止まっている
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旅館食事どころ
傾斜角42度のケーブルカー
ケーブルカーについて
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受付で入湯料金を支払う。大人1500円子供800円と少々値が張る…。
皆様ご存知の傾斜角42度を誇るケーブルカーに乗り170メートル下の谷底へ5分かけて下る。このケーブルカーを維持管理運営するには、その日帰り入浴料金は決して高くないような気がする。
このホテルには谷底の露天風呂と、ホテル内にある内風呂があるが、内湯は循環ろ過の加温式で滅菌のための塩素系消毒臭が感じられたので今回の入浴は割愛した。
5分後谷底へ無事に到着するが、ケーブルカーのドアは手動式なので自分で開閉しなくてはいけない。
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ケーブルカーの車窓から谷ゾコを望む
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山小屋風の脱衣場だが、最近きれいに建て替えられているそうだ。聞くところによると、数年前の大雨で旧露天風呂浴舎は跡形もなく流されたという。さすがにここでも日本三大秘境を思い知らされた。
ケーブルカーを降りると脱衣場までさらに階段を下りる。階段を下りる途中から源泉の硫黄の香りが漂ってくる。
山小屋風の建屋入口には暖簾がかけられ、その引き戸をくぐると男女別の入口がある。
脱衣場は2箇所あり、1つはこの建屋の中、もうひとつは露天風呂の際にあるが、貴重品がある場合は建て屋の貴重品ロッカーへ収めた方が無難だ。
外気温が低い場合は建て屋で脱衣する方が無難ですが、夏場など外気温が高いときは外でもいいかもしれない。
その場合、建屋から露天風呂までの通路は靴下を脱いでいくことをお勧めする。
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室内の脱衣場
露天風呂横の脱衣場
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祖谷川渓谷に面して設置された露天風呂は、
岩組みされた湯船で周囲の景色と遜色なく設置されている。
その岩風呂には源泉が惜しげもなく大量にドバドバと投入され、
見ているだけでも癒される。
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露天風呂から上流を望む
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源泉温度39.3度の白濁した湯にゆっくりと体を沈めると、正直「ぬるい」と感じる。この日はあいにくの雨と花冷えと春の嵐が三拍子揃った最悪のコンディションで、外気温度は15度もないだろう。
源泉が注がれている周辺は辛うじて38度前後を維持していたのが、湯船の端の方は体温とさほど変わらないので首から下は常に湯の中だ。
上品な硫黄の香り漂う湯を観察すると、白濁した湯は湯の花の色ではなく、微細な気泡によるものだ。わずかながら白い湯の花も確認できるが、黒くてしっかりした湯の花も浮き沈みしている。手にとってよく見ると、やわらかい炭のような物体ですが、成分までは特定できない。
しばらく入湯しているとその細かな気泡が体全体を覆う、さらに体毛は樹氷のように真っ白に変化している。その体に纏った気泡で保温効果が発生し不思議と温かみを感じる。
pHは9.4とアルカリ度は高めだが、一般的なヌルヌルする浴感とは違い、つるつるすべすべする美人の湯系の上品な泉質だ。
源泉を口に含むと強烈な「ゆで卵のきつい臭い」がパアッと広がる。少しなら飲泉できるが大量に口に含むと思わず吐き出してしまうほどだ。
泉質は単純硫化水素泉で、単純硫黄泉とは浴感、味共に明らかに違いを感じる。
強風と大雨、おまけに濃い霧に覆われる中ゆっくりと湯浴みしていると、山奥の渓谷らしくその天気は次第に変化し、穏やかな霧雨へと姿を変えていく。
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都会の雑踏から完全に切り離された超自然、
日本三大秘境と謳われたここ祖谷温泉にこの身を浸していると、
次第にこの秘境と同化してくるのが体感できる。
同時に自分という存在がとても小さなものに感じられるのだ。
なんとも不思議な空間がそこには存在している。
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評価について、
源泉温度は若干のぬるめで冬季の入湯はお勧めできないが、温泉不毛の地ここ四国において、これだけの源泉掛け流しや泉質はすばらしい。また、周囲のロケーションや四季折々の山の変化は見ものである。自他ともに認める最高評価の5つ星でまったく問題ないだろう。
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温泉の場所 |
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