古き良き温泉文化を探る旅に出て三日目、
遂に甲斐の山中で見つけたぞ!
やっと皆様にご紹介できる温泉に巡り会えたのでご紹介致します。

ここは山梨県の山の奥、武蔵と甲斐を結ぶ旧街道沿いに、
信玄の隠し湯といわれたのかどうなのか?
その名を裂石温泉というひなびた一軒宿がございます。

渓流沿いにある温泉宿は趣ある木造二階建て。
中に入ればどこか懐かしい建屋に
味わいある民芸品が目を楽しませてくれる。

気さくな女将さんが客室まで案内してくれた。
『えっ、本館じぁないの?』
女将の後をついて行くと、川の対岸にある別館へと誘われた。

案内された客室は別館一階にある手狭な六畳の和室で、
小さなテレビやちょっと古いエアコン、
浴衣、天然水『雲峰の霊水』、瓦せんべいが提供されている。

障子を隔てた向こう側、チョッとした森林浴が楽しめるスペース。
自然豊かな渓流のせせらぎがかなりの大音響で聞こえてきます。
『こんなに大きな水流音で今夜眠れるのか?』

よくありますよね、
川沿いに佇む温泉旅館へ訪れると、
夜の静まり返った客室に響く大きな川の音で眠れない。

大丈夫ですよ。そんな時にはこれがおススメ。
温泉サムライが推奨する、
『Bose QuietComfort 35II ワイヤレス ヘッドホン 』
どんな大きな音が響こうがこれでいつでも静寂が楽しめます。
もちろん好きな音楽もスマホからブルートゥースでコードレス。
しかし、目覚まし時計の音も聞こえず朝寝坊することもあるので注意です。

女将:『今日はお客さん一人別館貸しきりだからね。』
嬉しいことに歩いて5秒のところに露天風呂がありました。
準備を整えて早速露天風呂へと向かいます。

観てください!ここの岩風呂が素晴らしい。
塩山御影石の一枚岩が屋根となった露天岩風呂に、
無色透明の湯が蕩々と注ぎ込まれております。

上下二段に分かれた岩風呂に、
pH9.9の濃厚なアルカリ性温泉効果でお肌はツルスベに。
お湯には全く癖がなくお年寄りから子供まで存分に愉しめる。

源泉温度が低いため一部循環加温式ではありますが、
消毒のために添加されている薬剤の匂いもほとんど感じず、
森林浴と温泉浴が同時に楽しめる。

もちろん生源泉も常時注がれ、湯が溢れるかけ流し、
しかもコチラ日本古来の混浴なのでありますが、
女性との遭遇は一度もなかったのであります。
都会の喧騒なんてここには一片もありません。
川のせせらぎと、湯の流れ落ちる音、鳥のさえずり…。
時の流れがゆっくりの異空間的な露天風呂なのです。

上段湯船の実測温度41.5度、
屋根となっている一枚岩が覆い被さる様な圧迫感がちと怖いかも。
小鳥を捕らえる罠に入ったような気分になるかも?

下段湯船の実測温度41.1度、
源泉注ぎ口から新鮮な生源泉が楽しめる。
源泉はヌルヌル感よりもかなりのツルツル感がお肌を蘇らせてくれる。

存分に露天風呂を満喫し続いて本館にある浴場へ…。
本館玄関を入るとすぐ下に降りる階段、
ここが浴室の入り口である。

日替わりで男女が入れ替わる浴室で
本日は、岩の割れ目から湧き出た新鮮な源泉が味わえる冷泉湯船と、
加温された温泉湯船の二つの湯船が迎えてくれる。

岩盤の割れ目から湧き出る源泉温度は約26度と低く、
10月のこの季節に直接入れば鳥肌全開なのであります。
まずは加温された温泉湯船で身体を温める。

額に汗が滲んできたところで源泉湯船へと突入です。
ヒンヤリとしているが、湯触りがとってもマイルドで冷たさも軽減される。
冷温交互浴がすこぶる気持ちよく、これは癖になりそう。
薄暗い浴室で一人源泉かけ流し温泉を愉しむ。
近所のスーパー銭湯や豪華温泉旅館では到底味わえない
なんと言いましょうか?悠久の時空を超えた温泉空間なのです。
時間を忘れて湯を愉しんでいると
あっという間に夕食の時刻となりましたので、
食事をいただく和室大広間へと向かいます。

夕食は地元の食材のみを使ったいわゆる田舎料理だけれど、
他では味わえない素朴で豊かな味付けがどこか懐かしさを感じます。
これぞ日本の食文化の源流なのか、と彷彿とさせてくれたのだ。

固形燃料で調理されるお鍋の正体は、
甲府の名物『ほうとう』です。
大きく切られた野菜に太いうどんがお腹を満たしてくれる。

チョッと冷めてしまったキノコの天ぷらも田舎旅館の味。
普段では到底食べきれないおかずの品数ではあるが、
この日は完食いたします。ごちそうさまでした。

本館から別館へ向かう途中で後ろを振り返れば、
闇夜に浮かぶ温泉旅館が小雨や霧で朧気に見えるよう。
一人寂しく別館の客室へ戻ります。
混浴露天風呂も午後7時から午後9時までは
女性専用となって男性は入れません。
物音ひとつしなかったので誰も入りには来ないようだ。
就寝前にもうひと風呂浴びて身体と心を十分に温めて布団へもぐりこむ。
裏に流れる川の音は相変わらずの轟音ですが、
BOSEのヘッドホンで難なく眠ることができました。
朝早く目が覚めたので朝風呂を嗜んだ後、
周辺の散歩に出かけます。
ただの散歩ではなく、犬を連れての散歩です。

今回の宿泊プランは『犬の散歩付き』ということで、
宿のご主人にレクチャーを受け、宿の犬を連れ、
宿周辺を健康ウォーキングできるというもの。

里山の新鮮な空気と緑の香りに抱かれし、
途中、ワンちゃんの落とし物を埋葬するといった作業があるが、
程よく運動できたおかげで腹も程よく空いてきた。

朝食は夕食と同じ場所で頂いた。
おかずはたくさんの品数が少しずつ盛られてとってもきれい。
お味も田舎テイストですが、みそ汁の麹はとっても強いです。
もちろん食後は温泉三昧なのは言うまでもない。
残るは本館の昨日女湯だった浴室へ向かいます。
一番奥にある階段を降りれば浴室です。

お城の石垣のような岩盤の袂に湯船が二つ。
左が源泉かけ流し冷鉱泉、右が沸かし湯の湯船です。
この宿で知り合った男前温泉奉行様もご覧の通り至極ご満悦の様子。

朝日が窓から差し込む内湯空間で、
透明なお湯が光に輝きとても美しい。
やっぱり冷温交互浴は至極気持ち良く気分もサッパリするのです。
今回の宿泊で要した費用は、
一泊二食付き10800円、入湯税150円、合計10950円です。
近ければ何度でも行きたくなる温泉、みなさまにお勧めしたい。
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