(しまおんせん せきぜんかん)
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群馬県の温泉と言えば草津温泉が有名だが、 『草津の湯は酸性が強くご老人や皮膚の弱い方には刺激が強くて心配だ。』 と言う方はコチラの温泉がおすすめである。 草津温泉から東へ車で2時間ほど走った山間の緑に囲まれた場所にあって、 四万川の渓流沿いにある四万温泉は 草津温泉の観光地化した温泉街とは打って変わって、 いわゆる鄙びた昭和レトロ的な湯治場情緒を連想させてくれる温泉地。 ![]() 本日の宿にと選んだのが元禄四年から続いているという 格式高い老舗旅館「積善館 本館」 この旅館は宮崎駿「千と千尋の神隠し」で登場する 「油屋」のモデルになったといわれる旅館で、 一見してただならぬオーラを放出しているのが感じられた。 ![]() 本館前に架かる赤い橋は増水した四万川に悠然と渡され、 宿の客人に安心感をもたらしてくれる。 周辺は川のせせらぎや木々のざわめき、 鳥のさえずりといった本来の自然が織りなす姿や音がここには凝縮し存在していた。 ![]() 普段、都会の喧噪や雑踏を何気なく見聞きしている私は それらによって無意識に身体を蝕まれているのであろうと再認識させられた。 本館は木造三階建ての古くさい建屋ではあるが、 どこか風格を感じさせてくれる。 館内は迷路のように入り組んでいて廊下や階段が四方八方に張り巡らされ、 今の建築基準において建てるのはおそらく不可能であろうと推測できる。 ![]() それもそのはず、建物は文化財登録されたホンモノ。 館内を探検気分でウロウロと徘徊するだけでなんだか楽しくなってきた。 積善館は大きく分けて3つのゾーンに区分けされ、 その最下部が「本館」、ひとつ上にある建物は昭和11年造の「山荘」 一番上にある建物が昭和61年造の「佳松亭」でそれぞれに浴室が設けられている。 館内はすべて土足で入館できるが何だか少しもったいない気がする。 チェックインを済ませて館内案内図をもらい、内部を隈無く探検してみた。 ![]() 赤い絨毯の敷かれた廊下をくねくねと進み階段を降りたり上ったり、 突き当たって行き止まりになったり、白いトンネルがあったりのエレベーターもあり、 スタッフオンリーだったりと思うように目的地に辿り着けない。 まるでドラゴンクエストで登場するダンジョンの様な構造に冒険心がくすぐられる。 ![]() 薄暗い廊下や古い調度品の並べられた特大の大広間は 不気味でどこかのお化け屋敷と紙一重、とは言い過ぎかもしれないが、 ここはこの旅館の良い持ち味と言わざるを得ないだろう。 さて、お待たせの浴室は館内に4つあって、 本館内にあるは混浴の「岩風呂」、山荘にある浴室は2室の家族風呂、 コチラは宿泊者であれば無料で貸切の利用ができる。 「佳松亭」にある浴室は一般の旅館のごとく露天風呂と内湯がセットになった浴室であるが、 まずはコチラの「杜の湯」から入湯を試みた。 ![]() 本館からは白くヒンヤリとしたトンネルをくぐり、 そこからエレベーターに乗って上にある山荘へ向います。 レトロ感漂う山荘内を通過し、 ![]() さらにもう一度エレベーターに乗って佳松亭へと進み、 大きな提灯の吊られた廊下を突き当たれば浴室の入り口だ。 ![]() 大旅館らしいきれいで広い脱衣場はすべてのアメニティーや備品が揃っていて、 クーラーも良く効いた快適空間。 ![]() 浴室も広く大きなガラス窓と大きな湯船があって 湯は完全かけ流しで提供されている。 ![]() 男女を隔てる壁は鏡張りとなっていて 一瞬女風呂から誰かが覗いているかのような錯覚に陥ってしまったが、 映った身体は自分の裸。何だかチョット恥ずかしい。 ![]() かけ流されている湯は源泉そのままでとても熱く、 不用意に触ればやけどする程なので注意が必要だ。 湯はとてもサラリとした優しい湯、 そんなやわらかい湯が身体全体を包み込んでくれる。 実測温度40.2度とぬるめの設定でゆっくり湯浴みすることができる。 窓越しから見える露天風呂が気になるので早速移動します。 ![]() 露天風呂は緑に囲まれた静かなところ。 鳥のさえずりや木々のざわめきがダイレクトに感じられ、 山の澄んだ空気が身体中の毒素を浄化してくれそう。 ![]() そういった中での入湯は温泉を純粋に味わえるというもの。 岩組の大小二つの露天風呂は温度差のある湯が湛えられ、 落ち葉や虫など自然のエキスもプラスされたワイルドな露天風呂であった。 ![]() 解説するまでもないが画像を見ているだけでもうっとりしてしまう。 ![]() 「本館」客室までの帰り道、山荘内を探索です。 山荘は本館の造りを踏襲した木造造りの昭和レトロな建物で、 これまた静かな館内なので、廊下を静かに歩いて家族風呂へと向かいます。 ![]() 2室ある家族風呂は空いていれば宿泊者はいつでもう自由に利用できる。 ![]() 脱衣場の広さも十分あってとてもレトロ。 全く時間の流れが止まっているかのごとく雰囲気で、 大型旅館に見られる気取りは一切ここでは感じられない。 ![]() 浴室は2つの丸い湯船にシックなタイル張り。 その湯船にはとうとうと湯が注がれ 日常生活から見て非現実的な異空間がここにも存在していた。 ![]() (もうひとつの家族風呂) 湯の温度もぬるめで長湯でき、 誰にもじゃまされずに自分のペースで湯が楽しめるのは家族風呂の特権である。 ここ積善館には本館に混浴風呂の「岩風呂」がある。 ![]() 2階廊下から専用通路の階段を降りると、 これまたレトロ感満載の異次元空間。 ![]() 超古い設備なので鍵のかかるロッカーなどなく脱衣箱のみ、 昔のままの姿で提供されている。 ![]() 浴室は洒落たタイル張りの階段を降りるけど、 今時これほどの段差がある旅館も珍しく、 まさにノンバリアフリー。 ![]() 足腰の悪い方はそのリハビリにはよいかもしれないが チョット危険なところもあるのだ。 ![]() 浴室は長細い岩風呂で構成され、 ガラスブロックを積み上げた壁からは やわらかい太陽光線が岩風呂を照らし出している。 ![]() 無色透明のさらりとした湯はチョットぬるめの38.6度。 旧泉名:石膏泉ということでキメ細かなやわらかい湯は疲れたお肌に浸みわたる。 長時間ゆっくりたっぷり湯が楽しめるのはコチラの混浴岩風呂なのかもしれない。 ![]() 今時混浴風呂に女性の姿を見ることは稀なことだが、 私一人でこの大きな岩風呂を独占使用できるのは至極幸せなことだと感じ、 四万の湯を存分に堪能したのでした。 ![]() 本館ははっきり言ってボロなんだけれど、 どこか心休まる不思議な空間。 ![]() 客室も宿泊者に提供できるギリギリのラインで一歩間違えれば廃墟に近いだろう。 そんな古い旅館を丁寧に補修を繰り返し、 大切に使っているところにこの旅館の良さというものがあるのではないだろうか。 ![]() 夕食は大広間に用意されたお弁当を各自で広間に運んで準備する。 段差の多い廊下や広間の段差につまずきそうになりつつ膳に載せて運びます。 一泊二食付きで5000円でお釣りがあった。 ![]() (食事をする広間) それでは最後の浴場「元禄の湯」へと向かいます。 ここは日帰り入浴が可能ということで、 昼間はたくさんの入湯客で賑わっている。 少し落ち着いたところを見計らっての入湯だ。 ![]() 別棟の3階建て1階部分にあって、 西洋風の雰囲気を醸し出す浴室は、 脱衣場と浴室が一緒になった古い形式。 御影石で造られた四角い湯船が5つ整然と鎮座している。 ![]() 浴室内の床は、大きなタイルが貼り込まれ、 地熱なのか床暖房なのか分からないが、床はポカポカしている。 昭和五年に建設された浴舎は、 雰囲気的に長野県上諏訪温泉の片倉館に通ずる感もある。 その建設時期も同じ頃かもしれないがまさに温泉のための空間、 いにしえのローマ時代へタイムスリップしたかのような錯覚に陥ってしまう。 ![]() チョット深めの湯船にはいずれも同じ温度の湯が、 底にある湯口から供給されていて常時かけ流し。 チョットぬるめの湯だが、 目の前の古い真鍮製蛇口を捻るととても熱い生源泉を投入することができる。 ![]() そんな湯は温泉成分によりとてもなめらかでやわらかく、 湯の中に浸かっていることさえ忘れさせてくれるほど。 こんなに優しい湯にゆったりと贅沢に浸かっていたら 日頃の鬱憤やストレスなんぞアホらしく思えてくる。 身体の疲れや心の中のモヤモヤはこちらの温泉で完全にリフレッシュすることができた。 ![]() 浴室の端っこには、こんなの始めて見た旧式スチームサウナ。 ![]() 一人用のサウナは壁も腰掛けもすべて小さなタイル張り。 そのまま入るとお尻をやけどするので湯船の湯を腰掛にかけてから入室するのだ。 ![]() 内部は照明などなく小さな明かり取り窓がひとつ。 とても暗いその中は、温泉の仄かな香り漂うスチームで満たされ、 どこか別の世界へと導かれるような不思議な空間であった。 ![]() 悠久の時を越え、元禄から大切に受け継がれてきた積善館。 一泊という短い時であったが、 その積み上げられた「善」の一角を垣間見たような、そんな気がした。 ![]() 評価について、 湯はしっとりやわらかい湯でかけ流し文句なしの5つ星、 建物やその雰囲気も最高クラス。 よって文句なしの5つ星の評価とさせていただきます。 コチラ積善館に宿泊をお考えのあなた! 宿へ直接予約するよりもじゃらんを介して予約する方がお安く泊まれます。 空室確認もWeb上で瞬時にわかるすぐれもの。 宿泊料金や空室確認は無料で確認できるので見ないと損かも? 一度お試しあれ。
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温泉の場所 | ![]() |
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コメント | 四万温泉の老舗旅館『積善館』は贅沢なときが流れる温泉宿。 |
温泉の泉質 |
元禄の湯:ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉(中性低張性高温泉)/泉温62.9℃/pH6.74 |
適応性 | リウマチ性疾患、運動器障害、創傷、慢性湿疹および角化症、虚弱児童、婦人病など |
営業時間 |
年中無休 日帰り入浴時間11:00〜17:00 |
料金 |
日帰り入浴大人1000円 宿泊4600円から |
割引情報 | |
入浴施設 |
男女別内湯2 混浴1 家族風呂2 |
備品等 | 各種アメニティあり |
連絡先 |
〒377-0601群馬県吾妻郡中之条町四万温泉 |
アクセス | 電車:中之条駅からタクシーで20分 車:関越自動車道「渋川・伊香保IC」からR353号経由で25分 |
駐車場 | あり、無料 |
お気に入り度 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
塩素消毒臭度 | 012345 |
公式HP | 四万温泉 積善館のHP |
温泉情報 | |
入湯日付 | 2010年8月2日(月)曇り |
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