(ゆのみねおんせん りょかんあづまや)
温泉奉行所>和歌山県の温泉>湯の峰温泉 旅館あづまや |
ここは和歌山県の山間部。 山深く、かなり不便で寂れてる。 日本の神話時代に舞台となった場所だけに 今なお神々が住まうにふさわしい自然豊かな地である。 都会では日常茶飯事的に目にするコンビニや マクド(マクドナルド)といった便利で手軽なお店は皆無で、 辺りはどこまでも続く起伏の厳しい山々と その少ない平地に点在する集落が日本の原風景を垣間見ることができる。 そんな長閑な原風景を車窓から楽しみつつ 本日の最終目的地である『湯の峰温泉』へと向います。 日本最古級の温泉とされる湯の峰温泉は四村川の狭い谷間にあって、 湯けむりの立ち上る谷筋に15軒の旅館や民宿と、 二つの共同浴場からなるこじんまりとした温泉街である。 温泉街と呼称するには些か規模が小さく、 源泉が湧き出す『湯筒』を中心にグルリと見渡せる範囲内にある小規模温泉地だ。 巨大な温泉ホテルや超豪華温泉旅館もない鄙びた町並みは正に温泉天国。 良質温泉を湧出するこの地にしては珍しく俗化することなく 平成のこの世にこんな温泉風情が今なお残っているのが不思議なぐらいだ。 今から訪れるは、 当温泉地で一番の老舗旅館『旅館あづまや』をご紹介します。 共同浴場の川向にあるコチラの旅館は 近畿地方において珍しい『日本秘湯を守る会』会員で 玄関先に吊るされた同会の提灯が老舗旅館の風格を感じることができる。 屋根に掲げられた古い電飾看板が印象的でレトロ感を醸し出し、 しっとりとした玄関先の石畳には軽く打ち水が打たれ 入湯者を優しく迎え入れてくれた。 透明で大きなガラスが嵌め込まれた木製玄関引き戸を開けると 広くもなく狭くもなく、丁度良い日本人好みの広さを持つ玄関先で なんだか気持ちが落ち着く不思議な空間美。 靴を脱ぎずらりと並べられたスリッパに履き替え受付を済ませます。 案内された浴室は右奥にあるというので早速向います。 幾多の増改築を経た旅館内は迷路の如く入り組んだ構造となっており、 阿弥陀くじのように何度もクネクネ廊下を右左。 広い廊下もあれば狭い廊下あり。 突き当たりもあれば丁字路もあってなかなか趣があります。 間違って仕切りの暖簾を突っ切ると 厨房内へ迷い込んでしまったりとなんだかワクワクしてしまう。 群馬県にある『四万温泉 積善館』の様な迷路チックな建造物で、 温泉旅館が持つ独特の匂いや雰囲気は私の記憶にある内ではかなり上位だと思われる。 小さな売店やチョットした休憩処などあって寛げそうですが、 先ずはこの先にある浴室へと向います。 浴室入り口もレトロ感タップリ。 正面は女風呂、左が男風呂、奥には貸し切り風呂、 右には男子露天風呂の入り口がそれぞれあって まるで映画のセットの様な木製扉は、 田舎にあった古い玄関先を髣髴とさせてくれる。 古いからといって建具には不具合などなく チャンと正常に使えているから気持ちよい。 従来からある古いパーツに最近修理した箇所が判らぬよう 補修されているところにこの独特の雰囲気が保てるというものだ。 暖簾をくぐるれば淡い硫黄の香り漂う脱衣場だ。 奥に長細い脱衣場は古さは感じるが備品など新しいものを取り入れて使いやすい。 突き当たり左には温泉の蒸気を利用した蒸し湯があってとても熱そうだ。 支度を整え先ずは内湯の扉を開けます。 内装をすべてマキの木でしつらえた浴室内は天井が高くて 床面積の割りに広く感じる内湯空間です。 そこにあるのは鄙びきった四角い木製湯船が窓際に鎮座しています。 浴室の隅にはとても小さな湯船もあって その湯は源泉(100%)を適温に冷ました湯で満たされ乳白色に濁っている。 総マキ製という内装は思った以上に一種独特の情緒を醸し出し、 温泉に入湯する前からその雰囲気に呑み込まれてしまいそうだが ここは冷静に温泉を吟味させていただいた。 浴室内はすでに硫化水素系のツンとした硫黄の香りに満たされ、 湯船に注がれる湯の響きがクワドラート※な空間にこだまするかのよう。 ボイラーの唸り音や機械音は皆無で他には何も聞こえない。 (※『クワドラート』とはイタリア語で「四角の」という意味。) 木の桶で徐にかけ湯後ゆっくり湯船に浸かります。 温度は若干高めの42.7度ですがあまり熱さは感じない。 湯に浸かると濃厚に感じるいわゆるタマゴの腐った匂いは 温泉通でなくてもその良さは分かります。 大きな湯船には加水された温泉が満たされ、 硫黄によって黒く変色した木の湯船には大きな湯葉の様な白い湯の華も舞い上がり 肌はツルツルとなる重曹成分や塩味も感じられる複合感のある濃厚さ。 隅にある小さな湯船は家庭用のお風呂の様な大きさで 白く濁っているように見えるが湯船に沈着した硫黄が白いためで お湯には透明感があって硫黄の香りも際立っている。 湯に浸かると大量の湯が湯船の縁から溢れ出す。 溢れた湯はとなりの大きな湯船にも流れ込む仕組みは 湯を大切に思う心遣いが感じられ身体も心も温まる。 大きな加水湯船と、とても小さな源泉湯船のギャップがとても印象的な浴室は 温泉から立ち昇る大量の湯気の割りにのぼせないのはやはり天井が高いためだろう。 全くもって贅沢な気持ちにさせてくれるコチラの浴室は非の付け所はないだろう。 脱衣場にある温泉の湯気を利用したスチームサウナは 実測温度58度とかなり熱くて強烈な湯気に包まれすぐにのぼせます。 木の香りと温泉アロマに満たされたサウナは湯の峰温泉の名物だろう。 露天風呂へ向うには一度浴衣を着る必要がある。 古びた脱衣場で浴衣を脱いで玄関扉の様な戸を開けて露天風呂へ。 松や灯篭などがある庭園風露天風呂は 中央に巨岩が据えられ床も総石貼りで地味に豪華です。 浅めの湯船には惜しげもなく湯がかけ流され温度も低め。 露天風呂からの景観は残念ながら拝めませんが、 夜間の入浴は頭上に広がる満天の星空が俗世間の嫌なことをも忘れさせてくれる。 ツンとした硫化水素臭もここでは皆無でやわらかい硫黄の香りと 山の緑感じる澄んだ空気がこの秀逸な温泉をさらに引き立ててくれた。 次の日の朝、浴室は男女入れ替えての入湯が愉しめる。 突き当たりにある内湯浴室は昨夜の浴室と若干湯舟の位置を異にしているが 基本的には同じ。 浴室内にむし湯入り口があって機能的である。 露天風呂へも脱衣場から直接行けるのも理想的な間取りであった。 露天風呂の湯舟の奥には以前は男女つながる小さな潜り戸があると聞いていたが 今ではその潜り戸は封鎖され行き来できなくなっていました。 最後にこじんまりとした家族風呂の画像を公開しておきます。 宿泊客はいつでも無料で貸し切って利用できます。 小さいけれど湯は完全かけ流しのホンモノですね。 ここまで読んで頂いた皆様にだけお伝えします。 コチラの旅館へお泊りをご検討されている方は じゃらんにおいて無料で空室確認ができる機能がお勧め。 煩わしい電話での問い合わせは気が引けるあなたにお勧め。 宿泊料金も正規料金よりお安く泊まれる特典も掲載されるなど 私はいつも確認してから宿泊予約しています。 時には楽天トラベルにおいても格安プランや 高還元ポイントがゲットできるのであわせてチェックしましょう。 評価について、 源泉かけ流しで硫黄成分を基調とした温泉は、 重曹由来のツルツル感をはじめ塩分も含まれる温泉で体は芯から温まる。 施設のレトロ感と雰囲気は特筆するべき事ですが、 私の表現力ではこれが限界。 みなさまここは実際に訪れてコチラの温泉へ入湯することをお勧めします。 評価は文句なしの5つ星の評価です。 |
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温泉の場所 | |
コメント | 硫黄を基調とした温泉を完全かけ流しで提供する老舗旅館は世界遺産に付属するにふさわしい温泉旅館だ。 |
温泉の泉質 |
源泉名:環湯(たまきゆ)含硫黄−ナトリウム−炭酸水素塩・塩化物泉92.5℃/pH7.6 |
適応性 | 関節痛 慢性消化器病 など |
営業時間 |
宿泊チェックイン13:00〜 チェックアウト10:00 日帰り入浴:午後1時から午後3時まで |
料金 |
宿泊2名1室利用時大人1人:11400円〜(じゃらん最安) 日帰り入浴:大人700円子供(3才〜小学生)400円 |
割引情報 | じゃらん最安 |
入浴施設 |
男女別露天風呂各1、男女別内湯で湯舟が各2、男女別スチームサウナ各1、家族風呂2 |
備品等 | ボディーソープ、シャンプー、リンス、ドライヤー |
連絡先 |
〒647-1732 和歌山県田辺市本宮町湯の峰122 TEL0735-42-0012 |
アクセス | 公共機関:JR紀伊田辺駅 ⇒ 龍神バス ⇒ 湯の峰温泉(約100分) JR新宮駅 ⇒ 熊野交通バス・奈良交通バス ⇒ 湯の峰温泉(約70 分) 自家用車:南紀田辺IC約60km(約70分) |
駐車場 | 30台、無料 |
お気に入り度 | |
塩素消毒臭度 | 012345 |
公式HP | 湯の峰温泉旅館あづまやのHP |
温泉情報 | |
入湯日付 | 2012年8月6日(月)曇り 7日(火) |
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