(いけだらじうむこうせん ほうせんかく)
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2014年、中国地方温泉巡り第二弾と銘打って目指した先は…。 島根県の山中奥深く静かに佇む世界最強レベルの秘湯を目指して一人旅。 目指すは『池田ラジウム鉱泉 放泉閣』 ここは、世界トップクラスの高濃度ラジウム泉が湧出する珍泉として知られ、 訪れる者の心と身体を癒すだけでなく 放出するラジウムからも何かしらの恩恵も与えてくれそうだ。 近隣には二百名山に数えられたトロイデ型休火山『三瓶山』が見え隠れ、 また、2007年にユネスコ世界遺産に登録された 石見銀山があるなど自然豊かな山紫水明の地。 急勾配が続く周辺道路には その温泉を指し示す目立つ案内板や軒を連ねた温泉街などなく 一軒の民家チックな旅館があるのみなのです。 この旅館、外観から感じられる温泉らしさや趣は皆無。 まったく派手さのない旅館の門柱に掲げられた『池田ラジウム鉱泉』の看板だけが ここが温泉旅館だということを教えてくれた。 車は門柱脇の道路の端に駐車して荷物をまとめ旅館へと向います。 旅館敷地内には透明な源泉が湧き流れ出し赤く染まった岩盤が印象的だ。 その横に、源泉が貯められた瓦葺の建屋が神秘的に映ります。 しばし源泉が湧き出す様子を愛でた後、 宿の引き戸を開けます。 玄関は木目のきれいな床板に模様の美しい絨毯が 要所に敷かれた暖かみのある空間で、 旅館ではなく田舎の友人宅にでも遊びに来たかのような気分でリラックスできそうだ。 案内された部屋は一階の『桜』の間 畳の和室ではあるが、紅色基調の絨毯が敷かれた六畳ほどの空間と その右奥には二台のベッドが並べられたとても静かな寝室がそこにはあります。 部屋の間取りと窓から望む庭を軽く見た後、早速待望のラジウム鉱泉に急ぎます。 ココのお風呂は浴室がひとつしかなく家族風呂形式で使用するということで 暖簾をくぐり脱衣場引き戸の鍵を閉めれば贅沢にも貸し切りで入浴できます。 パチン、パチンと浴室及び脱衣場の電気をスイッチオン。 小さな洗面台が1台と数個の脱衣かご、 ドライヤーはないけど貸してくれるみたい。 心静かに入浴準備を整える。 黄色いボディーの放射線測定器に電池を入れて測定準備よし。 さぁ、浴室のガラスの引き戸を開けるぞ! こじんまりとした浴室は竹垣様の壁に石張りの床 細長い湯船と二台の洗い場にボディーソープとシャンプー 湯船の湯を掻き混ぜる棒も備え付けられている。 タテに細長い湯船には笹濁りの湯が満々と満たされ湯気を立ち昇らせている。 常時かけ流しではないが消毒剤添加やろ過器使用はなく、 手元にあるバルブの手動開閉で冷鉱泉である源泉を好きなだけ投入できるスグレもの。 湯船の湯、よく見ると水面にビッシリ膜状の物体が浮かんでいます。 これは垢ではなく温泉成分のカルシウム分が析出してできた結晶膜で 湯の表面を覆いつくしています。すばらしい! その膜をバリバリっと割って入るが如くゆっくり入湯開始です。 適温に沸かされた鉱泉はハッキリと分かる炭酸を含み清涼感にあふれ、 鉄の香りをわずかに感じる浴室内は湯気がこもって蒸し暑い。 これはラジウム泉をたしなむためのホルミシス効果を衒った(てらった)ものなのか。 軟らかい浴感で長時間の入浴でも指先はシワシワになりにくく、 湯からの刺激も少なめで程よくいくらでも入っていられそうだ。 夕方の17時45分に測定した源泉の温度とお待ちかね放射線量は、 温度23.4度、放射線量は0.44マイクロシーベルトを計測した。 計測数値はあくまで参考とし、 測定の仕方によってはかなりの振れがあると見てください。 湯口から出てくる源泉をテイスティングしてみれば シュワッと広がる炭酸の泡と共にしっかりとした塩分とわずかなダシ味に 鉄分を基調とするミネラル成分の香りも感じられた。 冷たい源泉を大量に投入すればおのずと湯加減は冷たくなってくる。 ご安心を!自動追い炊き機能はありませんが、 カベ面にある沸かしスイッチを入れると熱い湯が供給されて温かくなってくる。 入湯前に浮いていたカルシウム膜はどこへいったの? 湯船の底をよく見ると白っぽい砂漠の砂の様な細かな湯花が沈殿しています。 これがおそらくその浮いていた析出物だろう。 さすがに長時間の入湯でのぼせてきたな。心配御無用! コチラ旅館には小さいながらも露天風呂を完備、 外気に触れながらの入浴もたしなめる。 塀越しに外に広がる山の緑と空の碧さに心奪われる。 夏の日差しもこの山深さに幾分和らぎ 森の香りをたくさん含んだ新鮮な空気で森林浴も楽しめる。 露天の湯船はさらに小さく湯面には同じくカルシウムの析出物が浮かんでいます。 さて、露天風呂も堪能するか…、? えっ、めっちゃ冷たいやん。 温度を測ってみると23度前後と完全に水風呂で 手動で源泉を投入するバルブもなくただ単に源泉を溜めただけの露天風呂ではあるが、 この夏の暑い時期には重宝させていただいた。 放射線量も0.3マイクロシーベルトと若干気が抜けた炭酸ソーダのようだが、 某ラジウム温泉の放射線量よりも数値が上回る正真正銘の本物だ。 冬場はこの露天風呂、きっと入れないだろうなぁ〜。 存分にラジウム浴を楽しんだ後は夕食タイム。 なんと食事は部屋食で楽しめる。 物静かな宿の女性がお膳に載せた夕食を運んできてくれた。 うなぎの卵とじ丼、ハマチの刺身、ごぼうやれんこんの煮物、 白身魚のフライ(冷凍ものか?)ハマチのアラの味噌汁、 寒天のデザートなどのメニューなのですが、 見た目や味付けは家庭料理の域を出ない味わいでありました。 高速道路の夜間割引を適用するため夜中運転した為 ビールを飲んだ瞬間から強烈な睡魔に襲われた。 夜の入浴は21時までとチョット早いが ゆっくり湯に浸かって英気を養います。 トイレはウォシュレット付きできれい。 枕は低反発のモノでフトンも嫌な臭いもなく清潔で 冷房や冷蔵庫もよく冷えている。冬季にはコタツが用意されるそうだ。 朝風呂は7時からと少し遅いが少し早めに向います。 湯船はガッツリとウレタン製の分厚い蓋とさらにアルミ製の蓋に覆われ沸かし中。 蓋を自らメクッて湯に浸かる。 昨日にも増して湯に浮かぶカルシウム膜が分厚く張っていて湯も新鮮だ。 湯船の底がまだ沸いていないが一番風呂を楽しみます。 朝一のラジウム泉量を測ってみると…、おおっこれはスゴイぞ!! 計器のデジタル表示が大きく上下に振れる中、 測定した放射線量は1.46マイクロシーベルト! 私の入浴中における測定できた放射線量記録を大きく上回った。 ホルミシス効果もかなり期待できることから 空気中を漂っているであろうラドンガスを深呼吸で身体に吸収です。 いつ入ってきたのか分からないが大きなアブがブンブン飛んでいる。 このアブもホルミシス効果でこんなに元気なのか? 朝からタップリ湯浴みした後は部屋の窓を全開に庭園を眺めて 冷たいお茶を一服し朝食を待ちます。 とっても爽やかだ。 同じく部屋食で頂く朝のメニューはご覧の内容です。 焼き茄子がうまいが、チョットご飯がやわらかいかな? 今日は今から温泉津温泉方面と元気があったら石見銀山へ向います。 今回は同じ池田ラジウム温泉に二泊でタップリラジウム温泉を楽しみました。 朝9時過ぎに宿を出発し温泉津温泉を目指します。 二泊目編 この日は思った以上に行動力を発揮できず 計画していた石見銀山は資料館のみの見学とし、 熱い温泉津温泉で湯アタリしたのか湯迫温泉、湯抱温泉の入湯を断念した。 宿に帰ってきたのは15:30、 山深い池田ラジウム温泉も今日は暑いのでとりあえず昼寝です。 なんだか体が火照ってなかなか寝付けないが 1時間ほど横になり再び温泉に浸かります。 日帰り入湯者も訪れたであろう内湯は 朝に入った浴感とは明らかに違っていて新鮮味が薄れている。 放射線量も0.36マイクロシーベルトと顕著に低下していた。 湯上り後は庭に湧き出す3号泉を再び調査してみることに。 飲泉できる鉱泉を青い勺を使って飲んでみると、 淡い炭酸が口に広がり塩分と鉄味が後を追って口に残ります。 透明感がすばらしい源泉は流れる水路を赤く染め そのコントラストがとってもきれい。 周辺近くの岩盤からは約1マイクロシーベルトの放射線を発していた。 夕食まで時間があるから近くを散策です。 旅館前の道路は田舎なのになぜだか幅広道路。 となりには山奥には似合わない立派な老人ホーム「さわらび苑」がそびえたつ。 どうやらこの老人ホームは 池田ラジウム鉱泉のオーナーさんが経営しているらしい。 (玄関に掲げられた新聞の切り抜きより) 山間の林道を登って行くと鳥のさえずりやセミの声 カエルの織り成す合唱がなんだかとっても寂しげだ。 チョット暗くなってきたので慌てて宿へ戻ります。 まもなく夕食タイム昨夜と同じく部屋食で頂きます。 今日のメニューはイカそうめん、棒々鶏、かぼちゃの天ぷら、酢の物 トンカツがあったがこれは冷凍ものなのか?NG。 かぼちゃの天ぷらは甘くておいしかったな。 この日もご飯はやわらか目、 ビールはやめて冷たいお茶で晩酌です。 夕食後はやはり温泉で英気を養います。 湯船に浸かっていると不思議な感覚が肌の表面を覆います。 湯に浸かっている部分を空気中に出せばビリビリと痺れます。 山梨県にある増富ラジウム温泉においても同じ経験をしたが、 これは湯に含まれる炭酸成分が濃厚なため このような現象が起こるのだと今回の入浴で解決です。(だと思う) 玄関ロビー奥にある休憩所には誰でも飲めるインスタントコーヒーや 冷蔵庫には冷たいお茶もボトルでたくさん入れられた嬉しいサービス。 その冷蔵庫にあるお茶ボトルを部屋に持ち込み喉を潤します。 (駐車場辺りにはジュースの自販機もありますよ) 時間も遅くなってきたので就寝準備、 池田ラジウム鉱泉最後の夜をかみ締めてベッドルームへ向います。 な、なんだか体が……。 なかなか寝付けない、 眠っても体が火照ってすぐに目が覚める。 クーラーの温度を下げたりお茶を飲んだりするがやっぱり寝られない。 縁側に出て夜空を眺めると、 おーっ、学校で習った星座が分からないぐらいの星の数に圧巻です。 天の川がこんなにもハッキリと見たのは何年ぶりか? 流れ星も多数ハッキリ見えたのでお願い事をしておきました。 眠れなかったのは残念だが、 思わぬ副産物を得たのでヨシとしよう。 連日の温泉三昧で体が火照ったのか ラジウム泉による影響なのかは分かりませんが 寝たり起きたりを繰り返しそのまま朝を迎えます。 特に手足がかなりの火照りがあるので 露天の源泉風呂で身体全体を冷やします。 朝の湯船はやはり放射線量が1マイクロシーベルト越えと かなり高く効能がありそうだ。 朝食も部屋でゆっくり頂きます。 ご飯のやわらかいのがヤッパリ気になるが これもこの旅館の味わいということでおいしくいただきました。 最後に気になることがひとつ、 ラジウム泉世界最強クラスの源泉が湧き出す8号泉がどこにあるのかわからない。 宿の人に聞いてみると意外に近くにありました。 しかも見学は自由にしていいというので 朝食後、教えてもらった場所に行ってみると…、 傾斜面にポッカリ口を開けた洞窟を見つけます。 宿の方はこの洞窟を『間歩(まぶ)』と呼ぶがその由来を考察すると 石見銀山の坑道を間歩と呼ぶのでこれに重ね合わせたのだろうか。 中は照明などなく真っ暗でひんやりしています。 奥行きは4メートル程か、 かがまないと入れない間歩内をクモの巣をかき分け奥へ進んでゆくと コンクリート製の水溜めに突き当たります。 ここが世界最強クラスであるラジウム鉱泉の源泉かぁと 持ってきた放射線測定器のスイッチを入れると! いきなり『ピピピー』と大きな音が洞窟内を響きます。 これは3マイクロシーベルトに設定していた警報数値を大きくオーバーしたためだが、 その後もその勢いは衰えることなく測定した数値は? な、なんと4.25マイクロシーベルト!! この閉鎖的空間に源泉が湧き出すことを考えると かなりのホルミシス効果が得られると思われたため しばしのラジウム浴を楽しみます。 透明で高濃度の炭酸を含む源泉の温度は19.6度で 味は3号泉とほぼ同じで塩味鉄味を感じる鉱泉水なのだ。 持ってきた20リットルポリ容器に柄杓を使って入れますが、 これがなかな大変だ。 15分ほど間歩に居ただろうか? 狭い間歩内は気の利いたイスや休憩場所などなく腰や首が痛くなってくる。 壁面もシットリ水に濡れているため衣服は結構汚れるので覚悟してください。 ポリタンクに欲張って満水にしたためとても重く、 車まで運ぶのに大汗をかいたのは言うまでもないだろう。 でもね、帰宅後10時間経ったこのポリ容器の放射線量を計ったら 驚愕の3.92マイクロシーベルトの数値を測定した。 入り口が木製の扉で封鎖された間歩があるというので 宿の方の許可をもらって見学させていただいた。 扉を開けると真っ赤に染まった湯花の底から 透明なラジウム源泉が静かに湧き出している。 間歩内には何の酒瓶なのか不明だが多数保存されていて意味ありげ。 源泉溜まりはあるものの手入れ不足で 赤い鉄系析出物が堆積し飲泉することはできません。 油っぽさも感じさせるコチラの鉱泉は源泉温度は19.7度、 放射線量は2.65マイクロシーベルトを記録した。 宿の方のご好意に感謝いたします。 二泊の湯治でもまだ物足りなさを感じる池田ラジウム温泉は 隠れ家的湯治場というのが私の位置づけということであまり人には教えたくないが、 ここまで読んでいただいた温泉奉行様にはこのすばらしさ、 分かっていただけると思います。 ご拝読ありがとうございました。 ちなみに持って帰った源泉は少しずつ飲んだりお風呂に入れたりして楽しみましたが、 源泉からの放射線は1週間ほど放射し続けこの鉱泉水の神秘を感じさせていただきました。 なお、8号泉はとなりの老人ホームで浴用として使用されている。 間歩の見学は必ず宿の方の許可を得て 大切に利用してくださいね。 池田ラジウム鉱泉の動画を追加しました(2018.10.16) 池田ラジウム温泉周辺でお泊りをお考えの方へ。 ご予約は宿へ直接するよりも ↓じゃらんnetや楽天トラベル↓を介して予約する方が
空室状況もWeb上で瞬時にわかる優れもの。 おためしあれ。 |
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